今回は事務所(8月29日金曜日)と、活動現場(8月30日土曜日)の2日続けての訪問となりました(事務所は諏訪のみ、活動現場は中田・諏訪の2名で訪問)。今回、見学した活動現場は、行政上は郡山市内ですが、郡山駅近辺から、クルマで西へ1時間ほどの移動した猪苗代湖の近くです。市の中心部から見ると、「峠の向こう側」という位置関係ですので、気候も違っていて、冬は相当な積雪になるとのことでした。
NPO法人としての「移動保育プロジェクト」は、文字通り、都心部から移動した先での保育を行う活動が、団体としての活動の中心です。それに加えて、小規模ながら、保育所の運営も行っています(ワクワク自然体験保育園「ココカラ」)。今回訪問した場所は、元々幼稚園(か保育所)だった場所で、団体として継続的に借りておられるとのことで、平日は地元の子どもの保育、土日は移動保育の活動場所となっています。この日は、郡山駅前に集合し、子どもと保育者の方はマイクロバスでこの場所に移動しました。
代表の上國料(かみこくりょう)さんは、もともとビジネス出身の方で、ご自身がおっしゃるには、かつては「お金の力で社会にインパクトを与えよう」という考えをお持ちだったとのことです。それが、東日本大震災をきっかけに、「まず目の前の子どもたちのために」と活動を始めるうちに、価値観がすっかり変わったとのことでした。
上國料さんは保育士出身ではありませんし、現在も保育そのものは、保育スタッフに任せておられるようでした。しかし、「子どもの心を豊かに育み、自己肯定感を最大化する」という組織としての大きな目標や、保育の方針(※)を代表自らが設定し、それが実現しているかどうかという基準で、現場での判断をされているとのことでした。また、こうした保育の内容面での目標に加えて、「安全・衛生・プライバシー」の3点を最優先で考えておられるとのことでした。
(※団体としての目標は、事務所に大きく掲げられていました。また、保育の方針は、「『小さな成功体験』をたくさん積ませる」などからなる「ココカラ十箇条」として明文化されています。)
こうした組織運営のスタイルは、手法としては、ビジネス的ですし、保育や幼児教育に関わる既存の団体とは、組織としての雰囲気はずいぶん異なるように感じます。ただ、「移動保育プロジェクト」の活動によってこそ満たされているニーズというのは間違いなくあるわけで、これはこれで、一つのやり方ではないかと感じました。上國料さんは、「ノウハウは積極的に公開するので、他地域でもどんどんこのやり方を広げてほしい」とおっしゃっていました。このあたりは、営利企業とは全く違いますし、既存の保育系・幼児教育系の団体とも異なる点で、非常にNPO的だと感じました。
【中田コメント】上國料さんは謙虚でヒューマンな素晴らしい方で、会うとこちらも元気になる。今回は、猪苗代湖の活動現場に同行させていただいた。ここまで来ると放射線のことも気にせずに、伸び伸びと自然の中で遊べるということを体感できた。この線でしっかりやり続けて職業として立派に成り立たせてほしいと強く願っている。